2006年05月10日
腰痛重症なら手術も
以下 2006年5月8日 読売新聞より抜粋
腰痛 重症なら手術も
まず的確な病状把握が必要
基本は「保存療法」
腰痛は様々な原因で起きるが、治療は、一般的には、鎮痛薬の服用や、痛みを伝える神経をマヒさせる注射など神経ブロック療法、理学療法など体にメスを入れない「保存療法」が基本となる。それで効果が得られない重症の場合に手術が選択される。
腰の手術で多いのは、神経の通り道が狭くなる「脊柱管(せきちゅうかん)狭さく」と、背骨の間のクッションの役割を果たす椎間板(ついかんばん)の一部がはみ出す「椎間板ヘルニア」だ。
いずれも、背骨や椎間板の変形により、図のように神経根や「馬尾(ばび)」と呼ばれる神経の束が圧迫されて、痛みやしびれが現れる。
手術が必要になるのは、尿が出づらくなるなどの排せつ障害を伴う場合だ。馬尾が強く圧迫されているためで、この状態が長引くと、回復できなくなる。早急な手術で圧迫の解消を図る。
また、安静にしていても痛みやしびれが強かったり、足に力が入らず100メートルも歩けなかったりした場合に、手術が選択肢になる。
適切な治療選択を
読売新聞では今年3月、背骨の治療を専門にする日本脊椎脊髄病学会の認定外科指導医(2月1日時点)の所属する施設など497医療機関を対象に、昨年1月〜12月の手術実績などのアンケートを行い、346施設(70%)から回答を得た。
一覧には、「脊柱管狭さく」と「椎間板ヘルニア」の年間手術件数を掲載した。紙面の制約上、腰痛の手術で最も多い脊柱管狭さくの手術件数20件以上の施設に限った。
同学会副理事長の四宮謙一・東京医科歯科大教授は「手術件数は治療経験の一定の目安になる。ただし、むやみに手術するのではなく、個々の患者に対し、手術が最適な選択かどうか見極め、治療の選択肢を示すのが望ましい」と語る。
手術の効果は、腕前の問題以前に、原因や状態を見定める診断の的確さに左右される部分が大きい。
そこで、一覧表の3列目には、腰痛を訴えて受診した新規患者の中で、いずれかの手術を受けた人の割合を示した。手術に積極的かどうか、施設の性格がうかがえる。大学病院など手術を前提に紹介されてくる患者が多い医療機関は、比率が高くなる。
悪化するケースも
脊柱管狭さくの手術は、背骨の後部にある椎弓という部分を比較的広く切り取る「椎弓切除術」や、椎弓の一部を窓のように切り取る「開窓術」などがある。
そのほかに、自分の骨の移植や人工骨、金属などで固定する方法もある。
手術10年後の経過を見ると、2割程度の患者で、術前と同等の痛みが再発、または悪化するというデータもある。効果の限界を理解しておきたい。
椎間板ヘルニアの手術は、神経を圧迫している椎間板の飛び出ている部分を切除する。ただし、椎間板ヘルニアは、時間がたつと、自然に縮小、消失することもあり、まず、経過を見るのが一般的だ。
手術と保存治療の効果の比較では、治療1年後は、経過良好の患者の割合が手術で90%、保存治療で61%と差が大きいが、
10年後は、手術92%、保存療法93%と差がなくなるという報告もある。
「手術しかない」場合はむしろ少なく、社会復帰を早めるために手術を行う場合が多い。病院で勧められた治療法に疑問がある場合、他の医師に意見を求めると、選択肢が広がる可能性もある。(高橋圭史)
腰痛 重症なら手術も
まず的確な病状把握が必要
基本は「保存療法」
腰痛は様々な原因で起きるが、治療は、一般的には、鎮痛薬の服用や、痛みを伝える神経をマヒさせる注射など神経ブロック療法、理学療法など体にメスを入れない「保存療法」が基本となる。それで効果が得られない重症の場合に手術が選択される。
腰の手術で多いのは、神経の通り道が狭くなる「脊柱管(せきちゅうかん)狭さく」と、背骨の間のクッションの役割を果たす椎間板(ついかんばん)の一部がはみ出す「椎間板ヘルニア」だ。
いずれも、背骨や椎間板の変形により、図のように神経根や「馬尾(ばび)」と呼ばれる神経の束が圧迫されて、痛みやしびれが現れる。
手術が必要になるのは、尿が出づらくなるなどの排せつ障害を伴う場合だ。馬尾が強く圧迫されているためで、この状態が長引くと、回復できなくなる。早急な手術で圧迫の解消を図る。
また、安静にしていても痛みやしびれが強かったり、足に力が入らず100メートルも歩けなかったりした場合に、手術が選択肢になる。
適切な治療選択を
読売新聞では今年3月、背骨の治療を専門にする日本脊椎脊髄病学会の認定外科指導医(2月1日時点)の所属する施設など497医療機関を対象に、昨年1月〜12月の手術実績などのアンケートを行い、346施設(70%)から回答を得た。
一覧には、「脊柱管狭さく」と「椎間板ヘルニア」の年間手術件数を掲載した。紙面の制約上、腰痛の手術で最も多い脊柱管狭さくの手術件数20件以上の施設に限った。
同学会副理事長の四宮謙一・東京医科歯科大教授は「手術件数は治療経験の一定の目安になる。ただし、むやみに手術するのではなく、個々の患者に対し、手術が最適な選択かどうか見極め、治療の選択肢を示すのが望ましい」と語る。
手術の効果は、腕前の問題以前に、原因や状態を見定める診断の的確さに左右される部分が大きい。
そこで、一覧表の3列目には、腰痛を訴えて受診した新規患者の中で、いずれかの手術を受けた人の割合を示した。手術に積極的かどうか、施設の性格がうかがえる。大学病院など手術を前提に紹介されてくる患者が多い医療機関は、比率が高くなる。
悪化するケースも
脊柱管狭さくの手術は、背骨の後部にある椎弓という部分を比較的広く切り取る「椎弓切除術」や、椎弓の一部を窓のように切り取る「開窓術」などがある。
そのほかに、自分の骨の移植や人工骨、金属などで固定する方法もある。
手術10年後の経過を見ると、2割程度の患者で、術前と同等の痛みが再発、または悪化するというデータもある。効果の限界を理解しておきたい。
椎間板ヘルニアの手術は、神経を圧迫している椎間板の飛び出ている部分を切除する。ただし、椎間板ヘルニアは、時間がたつと、自然に縮小、消失することもあり、まず、経過を見るのが一般的だ。
手術と保存治療の効果の比較では、治療1年後は、経過良好の患者の割合が手術で90%、保存治療で61%と差が大きいが、
10年後は、手術92%、保存療法93%と差がなくなるという報告もある。
「手術しかない」場合はむしろ少なく、社会復帰を早めるために手術を行う場合が多い。病院で勧められた治療法に疑問がある場合、他の医師に意見を求めると、選択肢が広がる可能性もある。(高橋圭史)

